エピソード7  さくらの悲劇

2002年最大の悲劇・・・それはさくらが二度と子供を産めなくなってしまった事。
あのときの状況を忘れないように、残しておこうと思う。

11月8日 金曜日
さくらは最後の子を出産した。4匹のうち、はじめの3匹は自力で産んでくれたが、最後の1匹は産むことができず、帝王切開となった。
我が家が帝王切開に行く病院は、いろいろなブリーダーさんも通っている病院で、帝王切開は局所麻酔で行なう。そのため、子供が麻酔にかかっていないため元気に産まれてくる。母親のほうも、一般的な全身麻酔での帝王切開に比べ、子供への反応が早い。我が家でもりんごや、すみれ、かえでがその病院で帝王切開をしている。でも、今まで何事もなく、母犬も子供も無事に育っていったので、完全に信用していた。
さくらは手術台にのってもとにかく怖かったらしく、歯をむいて暴れていた。局所麻酔では、お腹の中を触られる感覚があるから、余計と恐ろしいのだろう。暴れすぎて、手術中に四肢を止めていた紐を取ってしまった・・・。とにかく、大暴れだった。

11月9日 土曜日
いつものさくらとどこが違うような気がしてならない。いつもは、赤ちゃんを抱え込んで、誰にも触らせないのに(私にも・・・)、今回は赤ちゃんを抱えこまないし、よけているようにも見える。おかしいなぁ、お腹の傷がよっぽど痛いのだろうか・・・。それでも、ご飯はぺろりと平らげたので、いつものさくらに戻ったかな?と思った。

11月10日 日曜日
パパさんがお休みなので、二人でさくらの様子を観察、というより、監視。昨日とあまり変わった様子はなく、やっぱり子供を避けているようだ。朝はご飯を食べたが、夜になって食べなくなった。缶詰のフードをあげたら喜んで食べた。お夜食も同じものをあげたが、今度は食べなかった。さくらがご飯を食べないなんて!!ももならまだしもさくらが元気なら有り得ないことなのだ。ササミならどうだろうと思い、ゆでたササミをちぎってあげてみた。あ、食べた・・・!よかった・・・。ちょっと安心した。

11月11日 月曜日
朝起きるなり、さくらの様子を見に行く。昨日あげたササミを全部吐いていた。どうしようもない不安でいっぱいになる。もう一度ササミをあげてみた。食いついてくるが、少ししか欲しがらない。絶対おかしい!!一番信用している病院で見てもらうことにした。午前中は休診だったので、夕方一番で駆け込んだ。
さくらは軽い脱水症状があり、かなり衰弱している。栄養点滴と吐き気止めの注射など処置をしてもらって、帰った。吐き気止めが効いたのだろうか、ちょっと楽になったみたい。でも、食欲は戻らない。お乳も出なくなり、赤ちゃんの体重が減りだした。急いで、ミルクをつくって、赤ちゃんに上げてみると、必死に吸い付いてくる。お腹がだいぶ減っていたようだ。さくらは自分がつらいのに、赤ちゃんのお尻をなめて、お世話をしている。眠るときは赤ちゃんを抱え込んで寝ている。早く楽にさせてあげたい。でもどうしちゃったんだろう・・・

11月12日 火曜日
さくらはご飯をまったく食べず、かなり衰弱している。午前中に病院へ行く。
昨日は出ていなかったおりものが出ている。先生がティッシュにつけて、「嗅いでみて」と差し出した。く、くさい・・・。
においのするおりものは腹膜炎か、子宮内で炎症をおこしているか、とにかく危険な状態である。一度開腹して、様子を見たらどうだろうかといわれた。
休診時間の15時から開腹手術をすることになった。どうか無事でいて欲しい・・・。
さくらを預けてから30分ぐらいたったろうか、先生に呼ばれた。
「今、少しお腹を切ってみたら、すごい匂いがするから、明らかに腹膜炎を起こしている。もう少しきってみて、お腹の中を調べるからそこから見ててもらっていいですよ」手術室の様子が分かる窓があり、そこから見守ることにした。すぐにまた呼ばれ、今度は手術室に入れてもらった。
さくらはまだ麻酔が完全に聞いておらず、ピクピクしている。
切り開かれたお腹から、濁った体液とすごい臭いがした。「お腹の中は無菌状態だから、こんなに濁った水は普通でない。かなり悪化しているようだ」といいながら、子宮を取り出す。おーっこれはなんだ!?さくらの子宮は素人目から見ても明らかに異常なものであった。あちこちに炎症があり、穴が開いている。帝王切開の傷口は特にひどい・・・。これはもうだめだと悟った・・・。先生もこんなにひどいのは見たことがないと呆れ顔。
子宮は切り離され、お腹のなかの洗浄をする。洗浄中にさくらの毛が浮いて出てくる。この毛は帝王切開をしたときに入り込んだものだろう。

さくらはまだ、危険な状態のため、1日入院をすることになった。
帰り道、もうこれでさくらは2度と子供が産めない、子供を育てることができない・・・そんなことがぐるぐると頭のなかを回り、涙があふれて止まらなかった。

11月13日 水曜日
午前中にお休みのパパさんと一緒にさくらのお顔を見に行く。
保育器のなかに入ったさくらは昨日とはまったく違う様子だった。目に力がある!!
看護婦さんが「朝ごはんもしっかり食べてくれましたよ」と笑っている。そっかー!ご飯食べたのかー!!うれしいよぉーーー!!!
「さくら!」パパさんが呼ぶとすぐに飛び起きて、抱きつこうとする。寂しくて、怖かったんだね・・・。
まだ、注射と点滴が必要なため、お迎えは夜といわれた。「また、後で迎えに来るからね」さくらは「行かないでぇ〜」と訴えていた。

夜、さくらをお迎えに行く。看護婦さんが連れてきてくれた。夜ご飯もしっかりと食べたらしい。
「もう、帰るよ。お家へ帰ろうね」しがみついてきたさくらをしっかりと抱きかかえて病院をでた。
先生、看護婦さん、さくらを助けてくれてありがとうございました!

家へつくとさくらをすぐに赤ちゃんのもとへつれていった。すぐに、甘えん坊のさくらからお母さんの顔になった。赤ちゃんたちもずーっと探していたママが帰ってきて、嬉しそう!!よかった、よかった。すっかり、いつものさくらママになっていた。

その後、さくらの快復ぶりはすばらしく、完全復活!!子宮をとったことにより、少しはおとなしくなるかも・・・とおもっていたが、おとなしくなるどころか、さらにパワーアップしてしまった!
さくらは二度と子供を産めなくなってしまったけれど、これからも我が家の大事なさくらには変わりはない。一生、一緒にいようね!


腹膜炎の原因は帝王切開中の処置が不十分だったことにあると思われる。
翌日、帝王切開をした病院へ連絡を入れた。どうこうしようというわけではなかったが、報告はしておかないと・・・。
病院側は「数多く手術をしているなかで、母犬が調子を悪くしてしまうことは稀にあります。こちらも、精一杯やっています・・・」一応、謝罪のような言葉はあった。それで満足というわけではないが、帝王切開の料金が安いことに甘えて、その病院へ連れて行ったこちらにも責任はあるのだ・・・。
それにしても、代償は大きすぎた・・・。