エピソード8  ももとらん

ももは我が家の、そしてままさんにとって初めてのわんこ。
もともと2世帯住宅の母屋にいるMダックスにお嫁さんを・・・という理由でペットショップを回っていたのだが、どこでどうなったか・・・。ぱぱさんは昔飼っていたスムースのチワワが大好きで、どうしても忘れられなかったらしい。「チワワいますか?」と、お店の人に勝手に聞いているではないか・・・。あれ?探しているのはチワワだったっけ?
まもなくお店の人が連れてきてくれたのが、とてもとても小さくおとなしいモモだった。ぱぱさん:「この子にします!」 ままさん:「えっ!?」

心の準備も犬を飼う準備も何もできていない状態で、ももと一緒にサークル、ベッド、オシッコシート・・・とりあえず生活できる用品を買い、帰宅。
そして、私にとって初めての自分のワンコとの生活がはじまった。
今思えば、まんまとぱぱさんにはめられたような気がする・・・。
ももの躾は本のようにはいかなかった。ももは決して従順なワンコではなく、とても頑固で気まぐれで、手に負えなかった。もともと、ままさんは神経質な性格なので、厳しくしようといつも、叱っていたと思う。うまくいかなくて、ヒステリックに怒り散らしたこともある。いつまでも、ももとは心が通じ合えず、すごく落ち込んだ。
そんな日々がしばらく続いたが、半年後、ももに遊び相手を作ってあげようとらんを迎えた。(これも、パパさんの策略であった)
ももを購入したペットショップで、じっと見つめるその瞳がとても優しい子だったので、お家に連れてきてしまった。パッと見はその柄のせいで怖い顔にみえる。誰に見せても、「ちょっと怖い・・・」といわれてしまった。
らんは、ももがしつけたようなもので、気がついたら大きくなってしまっていた。もっとも、そのころの私は実母の看病と派遣の仕事でほぼ毎日家を空けていたので記憶がないというのが正直なところ。ももとらんとのコミュニケーションもろくにできていなかったと思う。でも、心身ともに疲れて帰ってきても、いつもあどけない笑顔でむかえてくれるらんと、とりあえず尻尾を振ってくれるももに癒されていたっけ。
そんなある日、母の病状が思わしくなく、残りわずかな命と改めて宣告された日、どうしても耐えられなくて、病院から帰宅するなり大号泣した。すると、いつも甘えん坊のらんはすぐにそばに寄ってきて「どうしたの?どうしたの?」と顔を覗き込み、涙で濡れている顔をペロペロとなめてくれた。
ももは普段はあまり寄ってこないのに、何も言わずに、そっと私のそばに座った。まるで肩でも抱いてくれるかのように・・・。
その時、はじめてももと心が通じ合ったような気がした。

現在、ももはままさんにとって「母」であり「娘」であり・・・「ももさま」なのである。
らんは、トランプやホワイティといった自分よりも年上の青年がきてから、ちょっと気が強く喧嘩っ早くなってしまった。
でも、ままは知ってるよ。らんは本当は誰よりもやさしくて、良い子なんだよね。

2003.10