エピソード9  りんごの赤ちゃんが決心させてくれたこと

りんごは今までに何頭もの赤ちゃんを産んでくれた。プラムとエースもりんごの子。2002年5月31日うまれ 6匹兄弟だった。
子犬のころからお母さんの風格があったりんごは6匹の子を自力で産んでくれたのだが一番最後の子が、一番大きく足から出てくるも首が引っかかってしまった。夜中の出産だったのでパパさんと必死に引っ張りだしたのを覚えている。
引っ張り出されたその子は呼吸がとても荒く、みーみー泣きっぱなし。他の兄弟たちはすでに落ち着いてお乳に吸い付いているというのに、その子はお乳に向かおうともせず、とにかく苦しそうに泣いている。
何時間かしてやっと少し落ち着いただろうか・・・。泣きながらお乳に吸い付くようになった。大丈夫かな・・・少し不安があったが、朝までわずかな時間、寝ることにした。
すぐに夜が明けて、りんご赤ちゃんを見にいく。やっぱり泣いていた。
本当なら、病院に行くところなのに、その日に限って仕事が入っていたので、家を空けなければならなかった。すごく後ろめたい気持ちで出かけ、数時間の仕事をこなしたあと、猛スピードで帰ってきた。
家へ帰るなり、りんごのサークルをのぞく。
あっ・・・!
ずっと泣いていたあの子は、サークルの隅で冷たくなっていた。

冷たくなった赤ちゃんをりんごから離そうと抱き上げた時、りんごが「どこへ連れて行くの?」ととても悲しそうに私を見た。
ごめんね、りんちゃん。りんちゃんの赤ちゃん、守ってあげられなかったよ・・・
とても、とてもショックだった。私が仕事に行かなければ、この子は助かっていたかもしれないのに。
この時、私は仕事をやめる決心をした。
それまでしていた仕事は、私がやっと見つけたやりたい仕事で、自分でも天職だと思っていた。決してブリーダーの仕事を甘く見ていたわけではない。まだ、頭数的にも余裕があり、やっていけると思っていた。
でも、やっぱり無理だった。
大好きな仕事を捨て、友達も減ったけれど、私はワンコたちと向き合う仕事を選んで、良かったと思っている。
最近は、私はチワワン分離不安になっている。チワワンのお顔が見ていたくて、半日も家を空けられなくなってしまった・・・。相当、重症である。

2003.10